[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
07
桐原はベースの遠藤を誘った。
その日、遠藤と橋澤があいていたが、橋澤は自分から「いや、いいわ」と言った。「用があるから」と。
その日、CHERRYはメンバーそろって来ていた。
「よろしくお願いします」
メンバーは緊張しているようだった。
それは、場に対してか、自分たちに対してか――
「今日は楽しもう」
桐原が笑顔を作ると、遠藤も「そうそう」と笑って言った。場の空気が和む。
桐原は亜紀子の表情をちらりと見る。
笑顔がかわいい人だ、と思った。
「高橋さんって二十五?」
「あ、はい」
「わっかいねぇ」
桐原が笑う。
遠藤が「そういう発言がおっさんなんだよ」と笑った。亜紀子も小さく笑う。
話せば話すほど亜紀子は魅力を感じる人だった。
かわいらしさの中に、独特の艶があった。
内心押さえないとヤバイ――
そう思う時が何度かあった。
こんなに若い子相手にドキドキする自分が情けなくなった。
帰る際、亜紀子がにこっと笑った。
「今日は楽しかったです。ありがとうございました」
桐原も小さく笑う。
「こちらこそ。またよかったら食事に行こう」
「またよかったらよろしくお願いします」
はにかむ笑顔もかわいいな。
桐原は小さく笑いながら、そんなことを思った。
≪ 07 | | HOME | | 06 ≫ |